東京地方裁判所 昭和42年(ワ)11097号 判決 1972年3月15日
原告
熊本広明
被告
有限会社ヤオキ
ほか一名
主文
被告らは連帯して原告に対し金一〇一万六、六〇二円およびこれに対する昭和四二年一二月二三日以降支払い済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。
原告の被告らに対するその余の各請求をいずれも棄却する。
訴訟費用はこれを一〇分し、その九を原告の負担とし、その余を被告らの連帯負担とする。
この判決第一項は、かりに執行することができる。
事実
第一請求の趣旨
一 被告らは連帯して原告に対し金一三八七万三八六八円およびこれに対する昭和四二年一二月二三日以降支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。
二 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決および仮執行の宣言を求める。
第二請求の趣旨に対する答弁
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
第三請求の原因
一 (事故の発生)
原告は、次の交通事故によつて傷害を受けた。
(一) 発生時 昭和四二年三月二四日午後七時一〇分頃
(二) 発生地 埼玉県戸田市新曾町四八八八番地
(三) 加害車 大型貨物自動車(埼一せ八三五七号)
運転者 被告折笠茂(以下被告折笠という)
(四) 被害車 自動二輪車
運転者 原告
被害者 原告
(五) 態様 原告は被害車を運転して本件事故発生地を東京方面より埼玉県川口市方面へ進行中、前方より進行してきた対向の加害車と接触したものである。
(六) 被害者である原告の傷害の部位程度は、次のとおりである。
頭部打撲傷、右下腿開放性複雑骨折、右肩胛右上腕打撲傷、右手第三・四中指骨骨折。
(七) また、その後遺症は次のとおりであつて、これは、自賠法施行令別表等級の二級に相当する。
右大腿部切断、握力喪失。
二 (責任原因)
被告らは、それぞれ次の理由により、本件事故により生じた原告の損害を賠償する責任がある。
(一) 被告有限会社ヤオキ(以下被告会社という)は、加害車を業務用に使用し自己のために運行の用に供していたものであるから、自賠法三条による責任。
(二) 被告折笠は、事故発生につき、自動車運転手として遵守すべき、自車の進路前方に注視し、障害となりうるものの迅速な発見と、これとの衝突の危険を避けるため安全な運転措置をとるべき義務を怠り、漫然進行し続け、被害車の発見が遅れ、なんら有効適切な措置をとりえなかつた。過失があつたから、不法行為者として民法七〇九条の責任。
三 (損害)
(一) 逸失利益
原告は、前記後遺症により、次のとおり、将来得べかりし利益を喪失した。その額は金一二一二万三七五六円と算定される。
(事故時)満三二歳。大工職。
(稼働可能年数)三九・〇三年
(労働能力低下の存すべき期間)右同期間。
(収益)年収九九万六五四一円
(労働能力喪失率)九二%
(年五分の中間利息控除)ホフマン単式計算による。
(二) 慰藉料
原告の本件傷害による精神的損害を慰藉すべき額は、前記の諸事情に鑑み金三〇〇万円が相当である。
(三) 損害の填補
原告は、既に、本件事故に関し、自賠責保険から金一〇四万八〇〇〇円、労災保険から金二〇万一八八八円の支払いを受け、これを本件損害金内金として充当した。このほか、原告は自賠責保険金四三万円と労災保険金五万円の給付をうけたが、これはいずれも本訴請求外の治療関係費用に充当した。
四 (結論)
よつて、被告らに対し、原告は金一、三八七万三、八六八円およびこれに対する本件各被告のいずれにも訴状が送達され終つた日の翌日である昭和四二年一二月二三日以後支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
第四被告らの事実主張
一 (請求原因に対する認否)
第一項中(一)ないし(五)は認める。(六)は、被告折笠においては認めるが、被告会社は不知。(七)は知らない。
第二項中、被告会社が加害車を業務用に使用し、自己のため運行の用に供していることは認めるが、その余は否認する。
第三項中、原告が本件事故に関し、自賠責保険より金一〇四万八、〇〇〇円と金四三万円、労災保険より金二〇万一八八八円と金五万円の各給付を受けたことは認め右はすべて本訴請求債権に充当さるべきものと主張するが、その余の事実はすべて知らない。
第四項は争う。
二 (事故態様に関する主張)
本件事故は原告の道路センターラインをこえ対向車線に入つて無暴な追越しに起因する。被告折笠は本件事故地点に時速四五粁で差掛つたのであるが、対向してくる大型ダンプカー二台を、一台の自動二輪車が追越したのを認めた直後、続いて原告運転の二輪車が同じように右ダンプカーを追越にかかり、自車前方に現われたのを認めたのである。被告折笠はこれを認めると危険を感じ、ブレーキを踏んでハンドルを左に切つたが、原告の右追越は、加害車が衝突地点手前二〇米の地点で始つた状況であつたため、及ばず衝突に至つたのである。
三 (抗弁)
(一) 免責
右のとおりであつて、被告折笠には運転上の過失はなく、事故発生はひとえに被害者である原告の過失によるものである。また、被告会社には運行供用者としての過失はなかつたし、加害車には構造の缺陥も機能の障害もなかつたのであるから、被告会社は自賠法三条但書により免責される。
(二) 過失相殺
かりに然らずとするも事故発生については被害者である原告の過失も寄与しているのであるから、賠償額算定につき、これを斟酌すべきである。
第五抗弁事実に対する原告の認否
否認する。
第六証拠関係〔略〕
理由
一 (事故の態様と責任の帰属)
原告主張請求の原因第一項(一)ないし(五)の事実は当事者間に争いない。しかし、被告らは本件事故について免責を主張するので、まず本件事故態様について検討することにする。
〔証拠略〕をあわせると次のような事実が認められる。
本件事故現場は、ほゞ東西に通じる有効幅員八・二米の歩車道の区別のない平坦な直線道路上にあり、右道路両側に無蓋のU字溝が設られており、付近路上には照明灯などの設置はなされていない。被告折笠は、加害車を運転し、時速約四五粁で右道路南側中央寄りを西進し、本件事故現場手前に至つたのであるが、その時前方約一五〇米の地点に訴外道又洋一運転の自動二輪車が、時速約四二ないし三粁で対向東進してくるダンプカーを追越すため、道路中央をこえ、加害車進行車線に進出し、毎時約六〇粁の速度で対向してくるのを認めた。この時訴外道又運転車のほゞ五〇米後方を、原告運転の被害車が、前記ダンプカーの後方を追随していたもう一台のダンプカーを追越すため、対向車線に進入して、ほゞ同様時速六〇粁で前照灯を点燈して東進していたのであるが、被告折笠は、訴外道又車との相互距離になお若干の余裕があることに安易な安堵感をもち、当時、対向車線には前示ダンプカーのほか、トラツク乗用車等約一〇台の車が走行し、各車の車間距離は一応適正といえる程度には保たれていたものの、一旦対向車線に出た車が自車進路線に復帰するのが、常に可能であるとはいえない状態であることを認めたのに、訴外道又車は、加害車の進行を知り、自車線に迅速にもどるものと判断し、しかも、前方の安全確認を、右道又車に注意を奪われたため、怠り、さらに後方を対向してくる被害車の存在にまつたく気付かぬまゝ、なんら危険を感じることなく、それまでと同一の速度と進路でなお約三〇米進行した。ところが、右進行後被告折笠は、訴外道又が、加害車の対向するのを認めても、自車の速度を若干あげれば、追越し完了後加害車とすれちがうことができるものと判断して速度をあげ、依然追越しを継続し、前掲ダンプカーを殆んど追越さんとする状況となつているのを自車前方二一米のところに認め、しかも、これに続いて、被害車が五〇米後方から、依然道路中央を越えた進路を追越を継続して進行してきているのを知り、接触の危険を感じ、急ぎブレーキを踏み、かつ、ハンドルを左に切り、接触を避けようとしたが、予め、減速等の措置をとつていなかつたため、訴外道又車とは接触することなく、対向車線より追越を完了して自車線にもどつたそれと、すれちがうことができたものの、後続する被害車を避け切れず、道路南端と自車南端との間になお一米以上の距離をもつ進路で、なお停車し切れず、滑走中のまゝ被害車と接触するに至つた。
一方原告は、訴外道又と、業務打合わせのため、同人宅に被害車を運転して赴く途中、本件事故にあつたものであるが、訴外道又方にそれまで赴いたことなく、不案内で、たゞ同人運転車を追尾することによつて、同人方に到着せんとしていたため、前方を走行する訴外道又車に注意を集中し過ぎ、前示のように追越しのため対向車線にでる際にも、前方被追越車の動静には注意を払つたものの、対向車線の人車の動向には殆んど注意を払わず、訴外道又車が追越にかゝるや、それにならい、また、その少し前少量ではあるがビールを飲んでいた気勢も手伝い対向車線の安全を確認することなく、対向車線に進出し、そのあと、前方約一〇〇米余ところを対向してくる加害車の前照灯を認め、その幅より対向車が相当車幅の大きい車であることを認識しつつ、そのほか、加害車の速度等について注意を払わず、訴外道又車に追随し切れなくなることをおそれるのあまり、先行の二台のダンプカーを、対向の加害車と行きちがう前に追越し完了せんとし、速度をそれまでの毎時六〇粁より若干あげ、前進し続けるという措置にでたため、右予測がはずれ、追越し完了前に対向車線上で加害車を面前に置くという事態となつて、なんらの処置もとりえず、加害車と接触するに至つた(右のうち、原告が被害車を運転して本件事故発生地を東進中、対向の加害車と接触するに至つたこと、は当事者間に争いない)。
以上のような事実が認められ、右認定に反する〔証拠略〕に照らすと、事実を正確に反映したものとはいゝ難く、その他右認定を覆すに足りる証拠はない。
右認定事実によると、加害車を運転していた被告折笠は、本件事故につき、自動車運転手として遵守すべき、自車進路前方を注視し、自車の進行に障害となりうる人車の迅速な発見につとめ、かゝる場合衝突等の危険を避けるため、安全適切な措置をとるべきであり、自車の前方至近距離に突然センター・ラインを越えて対向車が進出してきたというような場合はともかく、本件のごとく、前方約一五〇米と二〇〇米の地点に既に道路中央を越え、対向車線に進入、進行してくる対向車が存する場合は、右車が、自車と行きちがう際には、確実に、道路左側車線にもどると認められるときを除き、本件のような対向車がほゞ適正な車間距離で進行しているような状況の場合は、道路中央をこえた対向車が、そのまゝ進行し続けることが充分考えられるのであるから、この動静に注意を払い、できる限り減速し、場合によつては徐行さらには停止、あるいはまた進路を安全な車線に移すなどの措置をとるべきものと判断される注意義務を、対向車との相互距離に余裕があることに安堵感をもち、直面の対向車は、本来進行すべき左側に直ちにもどるものと軽信し、その動向に対する注意と、進路前方のその余の人車に対する注意を怠り、前照灯を点じて進行中の被害車の発見がおくれ、漫然、前方に対する注意を欠いてなお約三〇米進行し続け、その時点に至つて始めて、直面の対向車も左側車線にもどらず、しかもその後方をさらに被害車が中央を越え進行してきているのを認めるという事態になつたが、それ迄なんら減速ないし進路変更等の措置をとつていなかつたため、急ブレーキとハンドル操作も及ばず、被害車に加害車を接触させるに至り、当初より対向車二台の動静に留意し、注意を払いつづけ、減速等あるいは進路変更等の処置をとつていれば発生を防止しえた本件事故を惹起しているのであるから、本件事故につき、不法行為者として損害賠償責任を負わなくてはならない。
また加害車をその業務の用に使用して、自己のため運行の用に供しており、従つて、運行供用者の地位にあることを争わない被告会社は、運転手たる被告折笠に前記のとおり過失が認められる以上、免責される余地なく、本件事故につき運行供用者として被告折笠と連帯して損害賠償責任を負わなくてはならない。
しかし他方前記認定事実によると、被害者である原告も、本件事故発生について自動車運転手として遵守すべき、追越しをしようとする場合、対向および後方の交通事情ならびに前車の動静に注意を払い、かつ、道路状況と交通事情に応じ、安全な方法と速度で追越し進行しなくてはならない注意義務を怠り、先行する訴外道又車を見失なうまいとするあまり、少量の飲酒の気勢も手伝うまゝ、対向車線の安全をなんら確認しないで訴外道又車に続いて対向車線に進入して追越にかゝり、前方に加害車の前照灯を認めたのに、この速度に注意を向けず、従つて、なんら適確な判断を下しうる資料をもつていないのに、追越が完了した後に対向の加害車とすれちがうことになるものと判断し、そのまゝ、追越を、進路も変更しないで、なお継続するという過失を犯し、そのため、なんら有効な措置をとりえないまま、加害車と接触するに至つたことが認定でき、そうすると、本件事故発生に被害者である原告の過失が寄与していることが認められかつ、被害者の右過失を斟酌すると、被告らは原告に対し相当の損害額のうち三〇%に当る金員を賠償すべきものと判断されるのである。
二(損害)
(一) 逸失利益 金五三八万七、二二七円
〔証拠略〕によると、次のような事実が認められる。
原告は、昭和九年一二月二二日生の大工職に従事している男性で、本件事故当時、訴外芝江建設株式会社の専属的下請業者として建物建築を請負い、右訴外会社より大工職手間賃のみを工事終了後受領するという業態をとつておりその受領は事故前一カ年で金九九万六、五四一円となつており、原告は、このうちより大工職として稼働するため必要となる道具代、交通通信連絡費、あるいは右収益に伴ないその納付義務を履行し、結局手中にしえない公租相当分として合して右のうち二五%を支出し、その余を純益として、妻と一人の子を扶養してきたところ、本件事故のため頭部打撲傷、右下腿開放性複雑骨折、右肩胛右上腕打撲傷、右手第三・四中指骨折の傷害(右受傷の点を被告折笠は争わない)をうけ、直ちに入院し、加療につとめたが昭和四二年四月一一日右大腿切断のやむなきに至り、事故後六ケ月日に、右足を大腿部より失つた症状で治療を終り退院し、その後自宅において隻脚での生活訓練をなし、漸次労働能力をつけ、昭和四四年六月より再び大工職人として稼働するようになつたが、その当初の収入は通例に比し一〇%程度にとどまり、漸次上昇しはしたものの二年後でも五〇%に達しない金額にとどまつている。
右のような事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
右認定事実によると、原告の本件事故により受けた傷害は、昭和四二年九月二三日をもつてその外科的療法を終りその後は原告本人の社会復帰への意欲、社会生活への馴化により、その労働能力の漸次的回復が期待できる段階に至つていることが認められ、かつ、右認定の傷害部位、現存症状そして原告の社会的地位、年令、その有する技能に鑑みると、原告は前記時点で自賠法施行令二条別表四級五号に該当する後遺症状を有するに至り、その労働能力喪失は右症状固定時より、原告稼働可能の年限と認められる三〇年間程度の差はあれ存続するものといえるが、その喪失の割合は、症状固定時より二年間は九〇%その後は、順次、二年間七〇%、さらに二年間五〇%、そして稼働終了時迄二四年間は三〇%とみるのが、正当である。そこでこれら各年間の逸失利益の現在価額を前認定年純益金七四万七、四〇六円(円未満五〇銭以上切上げ方式以下同じ)を基礎に年別ライプニツツ複式で算出すると金一二五万〇、七五四円、金八八万二、三五〇円、金五七万一、六五三円、金二三〇万八、七六七円の合計金五〇一万三、五二四円と、それに半年間の入院治療期間中の一〇〇%休業による逸失利益金三七万三、七〇三円の総計額金五三八万七、二二七円が、原告の本件事故のため逸失した利益相当額である。
なお、原告は逸失利益の主張にあたり、その喪失率を事故直後より九二%としてはいるが、右喪失率は、事故時の収益、受傷程度といつた要件事実とは異なり、当事者の主張するところに拘束されるものではないから、事故後半年間一〇〇%と認定したことは弁論主義に反するものとはならない。
(二) (慰藉料) 金二七〇万円
前記認定の本件事故の発生事情(原告の過失内容を除く)治療状況、後遺症状のほか本件その余の諸事情を総合すると、本件事故により原告が蒙つた精神的損害は、金二七〇万円、をもつて慰藉するのが相当と評定する。
三 (損害の填補等)
そうすると、本件事故と相当因果関係にある原告の損害は金八〇八万七、二二七円となるところ、既に認定の被害者の過失の斟酌割合に従うとき被告らは原告に対し、相当の損害額たる右金員の三〇%分を連帯して賠償すべきものとなる。
ところで、原告は、本件事故による損害に関し、既に自賠責保険金一四七万八、〇〇〇円、労災保険金二五万一、八八八円の給付をうけたことは当事者間に争いなく、またそのうち自賠責保険金一〇四万八、〇〇〇円と労災保険金二〇万一、八八八円が本件請求債権に充当さるべきことも争いの存しないところであり、その余の自賠責保険金四三万円と労災保険金五万円の充当については当事者の主張するところが一致しないけれども、〔証拠略〕によると、本件による原告の傷害治療のため少なくとも金四八万円の費用を要していることが認められ、次に労災保険については、労働者の災害を能う限り完全に補償せんとするところが、損害賠償債務の履行填補という自賠責保険と異なり、その相当額を過失相殺の対象とすべきではないと解され、(東京地判昭和四六年九月二一日判決)、そして、前記労災保険金二〇万一、八八八円相当分も、当事者の主張するところは、本訴請求外の債権に一部なりとも充当されるものではないとの趣旨であることは明らかであるから、労災保険金のうち、まず金二〇万一、八八八円は本訴請求のうち相当の範囲の損害とされる金八〇八万七、二二七円のうち、金二〇万一、八八八円相当分を消滅させることになるが、その余の労災保険金五万円は、本訴請求外の治療関係費四八万円のうち金五万円に充当され、本訴請求債権をなんら消滅させることなく、次に自賠法責保険金のうち四三万円は、そのうち三〇%に当る金一二万九、〇〇〇円相当が本訴請求外治療関係費として充てられ、その余の金三〇万一、〇〇〇円およびその他の自賠責保険金一〇四万八、〇〇〇円の合計金一三四万九、〇〇〇円が前記八〇八万七、二二七円より二〇万一、八八八円控除後の金七八八万五、三三九円の三〇%である金二三六万五、六〇二円のうち同額の一三四万九、〇〇〇円相当分を消滅させることになる。
よつて、金一〇一万六、六〇二円が、原告において被告らに賠償を求めうる金員である。
五 (結論)
そうすると、原告は被告らに対し金一〇一万六、六〇二円およびこれに対する事故発生日より後の日で、一件記録上被告両名いずれも訴状が発達され終つた翌日であること明らかな昭和四二年一二月二三日より支払済み迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の連帯しての支払を求めうるので、原告の本訴名請求を右限度で認容し、その余は理由なく失当としていずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条本文、九三条一項但書を、仮執行の宣言について同法一九六条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 谷川克)